【懐かしの昭和】銭湯の思い出
銭湯
僕らがまだ小さい頃は家にお風呂がある家もまだ少なくて
ほとんどの家庭が銭湯に行っていました。
こんな夏場なんかは、まだ日も高い夕方のうちに
母に手を引かれて銭湯に行っていました。
当時はまだ家の周辺に銭湯がいくつかあり、
定番の銭湯、定番が休みのときの銭湯、
たまに行く銭湯なんかがあり、
銭湯の高い煙突がいくつかよく見えたものです。
いつから男湯に?
小学校にあがった時くらいから男湯に入っていましたね。
幼稚園の頃などは母と女湯に入っていたんだと思いますが
小学校に入ると級友の目とかも気にしたのか、
自我が目覚めなのか、がんばって男湯に入っていました。
そして母が風呂から出る頃に、男湯まで響き渡るほどの声で
「出るよ~」と叫んで、それを聞いた私はそそくさと
帰り支度をするわけです。
あれは不思議なもので、いろいろな母親の「出るよコール」を
しっかり聞き分けられるのですね。
着替え終わると、番台の下を通って、結局母のいる女湯に向かうのです。
それは銭湯唯一のお楽しみ「ラムネ」を買ってもらうためです。
大きな扇風機が回る脱衣所の片隅にラムネやらコーヒー牛乳が
詰まった透明の冷蔵庫があり、そこからよく冷えたラムネを取り出し
番台でお金を払う。
ビー玉で封されたラムネを専用の栓抜きでスコンとあける。
そして、必ず少しあふれ出すラムネを一滴もこぼすまいと
口で迎えに行く。
銭湯の高い窓からは真っ赤な夕焼けが見える。
飲み干したラムネの空き瓶は青く、透明で。
あの頃は一日一日が色彩豊かであったような気がします。
もちろん今も色彩豊かな毎日なんだと思いますが
僕らが少しずつ慣れてしまったのか、
あまりの忙しさにそれらすら感じることができなくなっているのか、
それとも、本当はもう色彩豊かな毎日なんかは
とっくの昔に過ぎ去ってしまったのか・・・。
そんな思いを馳せながら久しぶりに銭湯にでも行こうかと思います。