【懐かしの昭和】「HAM(ハム)」って何?
僕らがまだ小さい頃は
スマホはおろか、携帯電話さえなかった。
しかし、何らかの通信手段は持ちたいと思っていた。
時には、とんでもなく長い糸電話を作った。
トランシーバーなるものが出てきた。
そして、科学的なものに憧れている僕らをびっくりさせたのが
「HAM」だった。
アマチュア無線
アマチュア無線、またの名を「HAM(ハム)」。
中学生になった頃、頭のよかった友達が家に招いてくれた。
「どうぞ」と彼は自室へと案内する。
そこは、まさに秘密基地だった。
学習机の横にはもう一つの机。
その上には見たこともないような電子機器が・・・。
彼は慣れた手つきで電源を入れる。
ラジオのノイズのような音が部屋に響く。
そしてダイヤルを回す。
デジタル数字が目まぐるしく変わる。
コードネームは・・・
彼はニヤリと笑う。
そしておもむろに
「ハロー」と。
当時は英語をしゃべるのは英語の先生だけだった僕らは
度肝を抜かれる。
そして、
「ジャパン、ケベック、チャーリー、キング・・・・・」と。
僕らは茫然とした。彼は何を言っているのだろう。
彼のやり取りをただただ眺めるだけだった。
そして、「す、すごいね、英語・・・」と。
彼は言った「あれは自己紹介で、コードネームなんだ」と。
彼は小さい頃から、勉強をして免許を取り、
お金を貯めて、このアマチュア無線の道具を揃えたらしい。
それは当時の僕らには考えられない金額だったと思う。
小さな頃から目的をもって勉強し、貯金して、それを達成する。
もらったお金は全部、お菓子を買ったり、ゲームを買ったりしていた僕らは
何とも言えない敗北感を背負ったまま夕暮れ迫る帰路を自転車で飛ばした。