デパートの最上階の大食堂で「お子様ランチ」
正月の恒例行事
私がまだ小さいころ、正月の3日あたりに
家族で出かけたのがデパートでした。
いわゆる「よそ行き」の新品の服を着て
電車に乗ってデパートへ向かいました。
朝からお酒を飲んでいる、ほろ酔いの父親と
いつもより3倍増しくらいの化粧をした母親。
まっさらのジャンパーを着た私。
母親は福袋を買ったり、
私はもらったばかりの「お年玉」でおもちゃ売り場を
物色するのです。
デパートには「よそ行き」を着た客が溢れ、
とても活気がありました。
大食堂へ
お昼過ぎになるとエスカレーターで最上階へ向かいます。
最上階には大食堂があり、
大きなガラスケースの中にはメニューのサンプルが
ずらりと並んでいました。
殺風景に配置されたテーブルに案内され
決まって注文したのが「お子様ランチ」でした。
ケチャップライスに突き刺さった旗が魅力的でした。
年に一回だけの「お子様ランチ」がおいしかったのか?
とにかく興奮していてあまり覚えていません。
当時の僕らにとってはデパートの最上階の大食堂は
非日常すぎたのです。
クリームソーダ
ほろ酔いの父は言いました。
「クリームソーダも飲むか?」
普段はそんな贅沢はさせてもらえないのですが
その日だけはなぜか許された。
私は母の顔を見て「いいの?」
母は今日だけねってな表情でうなずきました。
僕ら家族はおなかもいっぱいで、
片手には買ったばかりのおもちゃを抱え
人ごみの中をかき分け家路を辿るのでした。
そんな正月の思い出でした。
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